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「フィンテックは必ずしもハイテクばかりではない」--みずほFG 山田大介執行役常務・CDIOインタビュー

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(写真=FinTech online編集部)

 

「フィンテックは銀行を破壊する」――メディアではそんな形容をされることがあるにもかかわらず、銀行を含む一部の金融機関はこれに積極的に取り組んでいる。なぜ金融機関はその道を選ぶのか。“破壊者”といわれるフィンテックをどうとらえ、どう付き合うのか――。

今回は日本を代表するメガバンク、みずほ銀行を擁するみずほフィナンシャルグループの山田大介執行役常務に、同グループのフィンテックへの取り組みとその狙いについてうかがった。(取材=FinTech online編集部

大手メーカーとIoTに取り組み、感じた時代の変化

2016年4月、CDIO(Chief Digital Innovation Officer)に就任した山田大介氏。これまでながらく産業調査部でIoT(Internet of Things,モノのインターネット化)に取り組んできたといい、「FinTechもある意味で、IoTの延長線上にあるという認識です」と話す。

産業調査部時代の取引先には自動車や航空機の大手メーカーがあった。日本、いや世界で知られるこれらの企業は従来から膨大なエネルギーを投入し、IoTに取り組んでいたという。

「これほどの大企業でも危機意識を持っているのかという驚きがありました。議論を交わすなかで、『世の中は着実に変わっているんだ』という実感が日々あった」

たとえば自動車のIoTの取り組み。エンジンに取り付けたデバイスから運転手のクセや特徴をデータとして蓄積する。どの道をどの時間帯に通るかという情報などと組み合わせることで、事故のリスクが算出できるようになる。「そうすると、安全運転する傾向にあるドライバーは事故のリスクが低いわけですから、自動車保険の保険料が抑えられるかもしれません。これも一種のFinTechですね」と指摘する。

FinTech先進国といえば米国だが、単純に日米の比較はできないのではないかと山田氏は話す。「米国には学ぶところもたくさんあります。ただ米国は人口も多く収入の差も日本より大きいため、銀行口座が作りにくいという層もいるとの話もあります。また米国では学生向けのP2Pファイナンス・ローンのサービスがいくつもありますが、それは日本よりも大学の学費が高目だからです。このように日本とは環境が違う点が多いので、なかなか単純比較は難しいと思います」と冷静だ。

実はFinTechに以前から取り組んでいるみずほ銀行

お国柄により事情は異なるものの、FinTechが日本の金融市場を席巻する日は遠くはないと考え、みずほ銀行はFinTechに、積極的に取り組んでいる。LINEのトーク画面上で残高確認ができる取り組み、資産運用ロボによるアドバイスサービスである「SMART FOLIO」の提供。またマネーツリーやマネーフォワードといった代表的なスタートアップ企業とも連携しているし、ソフトバンクやIBMと、両社のPepper、ワトソンを使った取り組みも昨年から始めている。

こうした取り組みを次々と打ち出す背景にあるのは、銀行も少しずつでも変わっていかなければいけないという、ある種の危機感だろう。まさに山田氏自身が、大手メーカーとの対話で時代の変化を感じ、変化の必要性を知っている。

山田氏は試案として、ポイントのオークション市場といったことも考えられるという。この低金利の時代にあって、こうした取り組みはポイントサービスを提供している各種企業も乗ってくるかもしれない。

また口座振替の仕組みについても言及。全国津々浦々、どこの銀行でも公共料金の口座振替の仕組みはもっていて、私達消費者は特に気にもせずに利用している。だが今の仕組みもかなり長年にわたって使われている。ここで技術革新を起こし、コストを下げて消費者の利便性を高められれば、ビジネスにもプラスになるだろう。同行だけでやろうとすると開発のコスト負担は大きくなるが、例えば他行と協力してやることで負担は分散できるのではないか、と語る。

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