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中国フィンテック(金融科技)、投資は減少するも熱気は継続

2017年に株式発行や融資を受けて資金調達した中国のフィンテック企業は、484社に及んだ。しかしこれは前年比247社、融資額は半減している。どうやら中国フィンテックの発展は、ターニングポイントを迎えたようだ。新しい連合により、最新の科学技術と、伝統的金融との融合が進んだ。これらはフィンテックとは何か?を改めて問うている。中国フィンテックの現状と方向性について、経済サイト「21世紀経済報道」がまとめている(1元=16.82日本円)。

中国フィンテックの定義

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(画像=imtmphoto / shutterstock.com ※写真はイメージです。)

 

21世紀経済報道は「科技賦能、規範融合ー2018中国金融科技発展地図」をまとめた。広く浅い研究範囲とことわりつつ、フィンテックの定義や生態の解明、今後の発展の基礎としたいという。

ところでフィンテックとはなんだろう。国際組織である金融安定理事会(FSB)は「技術的手段による金融イノベーション、金融機構及びサービスに重大な影響をもたらすモデル。」と定義している。

中国には、明確な官製定義はない。蟻?金服/アント・フィナンシャル(アリババ系)京東金融、度小満金融(旧百度金融)などIT巨頭系金融会社の切り開く新しい局面や、建信金融科技(建設銀行系)、民生科技(民生銀行系)など銀行系金融科技会社の存在そのもの、P2Pレンディング会社の発する決まり文句、などを指しているようである。自称すればそれで通るようにさえ見える。

実際市場に存在する“フィンテック企業”は玉石混交だ。いかに定義すべきか、またその典型的特性には何があるのだろうか。現在の中国には二流派の考え方がある。

1つめは、フィンテック企業には、システムを輸出できるほどの科学技術水準を持ち、収入源は、そのシステム管理とサービスである考え方だ。

2つめは、それだけでは足りず、フィンテック技術のアドバンテージが、認められていること。そしてそれは次の4類型のどれかに包括される。1 銀行、保険など主流金融機関に応用されている。2 自身だけの使用ではなく、技術供給可能なこと。3 外部機構へ包括的に提供できること。4 自身で金融業務を構築できること。

中国フィンテックの生態

そうした条件に見合った企業484社への、昨年の資金投入額を業態別にまとめると、以下のようになる。

分野 総投入額/平均額
決済 312億6000万元/3億5900万元
貸借 296億2000万元/2億5900万元
理財 124億元/1億9700万元
金融サービス 121億元/2億9500万元
消費者金融 111億1000万元/3億1800万元
保険 70億9000万元/1億600万元

決済と貸借の2つが抜きんでている。ただし最初に紹介した通り2016年比では半減している。

次はフィンテック主要120社の分布を紹介している。

北京37社、上海33社、深セン23社、杭州11社とこの4都市に集中している。北京にはネット金融が多く、上海にはビッグデータとリスクコントロールと理財(投資ファンド)が多い、深センはバランスがよい。杭州は、群雄割拠で複雑な情勢だ。この他、広州、南京、重慶でも、一定の発展が見られる。

2017年は貸借を中心に、上場も盛んだった。ニューヨーク市場4社、ナスダック2社、香港1社である。ただし上場後の株価はいずれもパッとしない。

IT巨頭ー大銀行の「新F4連盟」

これに対して、ユニコーンのフィンテック企業は大活躍中だ。とくにIT巨頭系の企業価値は高く評価されている。蟻?金服/アント・フィナンシャル(アリババ系)1500億ドル、騰訊金融(騰訊系)1440億ドル、京東金融(京東系)1000~1500億ドル、陸金所600億ドルなどがあり、しかも年々上昇の一途である。

2017年、年初から半年以内に、国有四大銀行とIT巨頭の提携が進展した。アリババー建設銀行、京東ー工商銀行、百度(バイドゥ)ー中国農業銀行、騰訊(テンセント)ー中国銀行である。

IT巨頭が国有四大銀行を取り込んだ格好だろう。これらは人気テレビドラマになぞらえて「新F4連盟」と称される。他社はこれに対抗する構図となった。

今後の6大趨勢

最後に記事は今後の展望を6つにまとめている。

(1) モバイル化……優れたフィンテックは、モバイル化して世界を覆う。母体は大型金融機関である必要は全くない。モバイル 化は今後3~5年の最重要戦略目標である。

(2) 消費者重視……大銀行はますます消費者ビッグデータを重視するようになる。

(3) 銀行とフィンテック企業の新融合……金融は金融、科学技術は科学技術、それぞれはっきり回帰させた上で、新しい融合と 創造とを導く方向へ進む。

(4) AI化……AI体験革命が進む。光彩認証、語音識別などの顧客体験の蓄積は、フィンテック企業のコストを削減するだろう。

(5) クラウドコンピューティング進む。……重要ではないシステムは、外部のクラウドコンピューティングプラットフォームを 使う比率が高まる。

(6) ブロックチェーンは基礎。……組織をまたぎ融合する未来の金融業にとって、基礎中の基礎インフラとなる。

新F4連盟を分析すれば方向性はこのようになる、という意味だろう。実際に大きな資本を投入した新F4連盟を中心に、開発の火花が飛び交っているのは、間違いない。中国は実験モデルと展望を持ち、最先端を目指している。投資額は減少したとはいえ、このようなホットスポットは、世界の他の地域に存在しているのだろうか。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)