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IBM、アクセンチュアなど大手からスタートアップまで 11社のブロックチェーンの取り組み

ビジネスの改革手段として注目を集めるブロックチェーン技術だが、企業の間では「実際にどのように採用していいか分からない」という声もある。

IBMやアクセンチュアなどブロックチェーン・ソリューションとともにコンサルティングやサポートを提供している国際大手のほか、次世代ブロックチェーン技術のチェーン、ピア―・ノヴァ、ソリッド・エックスなど、ブロックチェーン技術を利用したサービス・商品を提供するスタートアップ全11社を紹介しよう。

IBMブロックチェーン――世界最高水準のソリューションとサービス

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

 

世界最高水準の技術と専門性、エコシステムを備えたIBMブロックチェーンは、金融から医療、保健、輸送など多様な分野のビジネスにブロックチェーン・ソリューションやサービスを提供している。

国際ブロックチェーン・ネットワークの構成に最適化された総合プラットフォームから、特別なスキルなしにアプリ開発ができるほか、コンソーシアム型のブロックチェーン・ネットワークの管理・統制が簡単に行える。常時稼働のネットワークのセキュリティレベルも最高水準を誇り、安全なネットワーク構築が期待できる。

リナックスファウンデーションが主催するブロックチェーン技術促進コミュニティー「ハイパーレッジャー(Hyperledger)」にも参加しており、ビジネスでの活用に焦点を当てたオープンソース・プロジェクト「ハイパーレッジャー・ファブリック(Hyperledger Fabric)」、オープンソース開発者用ツール「ハイパーレッジャー・コンポーザー(Hyperledger Composer)」のトレーニング、アプリ ケーション開発を実施するためのハンズオン・セッションなど、顧客の需要に合わせた個別セッションも提供している。

また「IBMガレージ(IBM Garage)」では、ワークショップやオープンオフィスなどを通し、専門家によるアプリ開発サポートを受けられる。

アクセンチュア――金融向け総合ソリューション・サービス

アクセンチュアは、ブロックチェーンおよび分散型台帳技術を活用した金融向けソリューションを提供。専門チームが革新技術を効果的に取り入れる戦略立案から導入まで支援してくれる。

ブロックチェーンの適用可能性・事業へのインパクトといった「戦略評価」、プロトタイプに向けたリーダーシップ・ワークショップ「ブートキャンプ」、概念実証(PoC)、価値実証(PoV)、コンフィギュレーションやインテグレーションに関する提案を行う「サンドボックス」、人材・プロセス・運営モデルを含むあらゆる要素を考慮した包括的な「ソリューション設計」、実装に向けた複雑なプロセスの管理やサードパーティーとの仲介といった「ソリューション構築」など総合的なサービスから、需要に見合った支援を受けられる。

IBM同様、ハイパーレッジャーの主要メンバーであるほか、デジタル・アセット・ホールディングスやリップルとも提携し、イノベーションの追求を継続している。

フランスに開設したブロックチェーン・センター・オブ・エクセレンス(CoE)では、パブリック型、コンソーシアム型、プライベート型の分散型台帳技術関連のソリューション開発に取り組んでいるほか、金融サービス企業の垂直統合や領域の専門家を推進している。

Microsoft――「アジュール・ブロックチェーン・アズ・サービス」

開発者や専門家がアプリの開発・展開・管理に使用できるMicrosoftのクラウド プラットフォーム「アジュール」は、分散型台帳用のブロックチェーン ・アプリケーション開発・試験・展開にも対応。「アジュール・ブロックチェーン・アズ・サービス/BaaS」を通して、企業にブロックチェーン・ベースのアプリ開発環境を提供している。

ほかにもコンセンシス(ConsenSys)との共同 開発による「イーサリアム・ブロックチェーン・アズ・サービス(Ethereum Blockchain as a Service)」や、企業向けスマートコントラクト「エンタープライズ・コントラクツ」も発表している。

チェーン――ナスダックが未公開株取引に採用するブロックチェーン技術

ナスダックが未公開株の取引きにブロックチェーン技術を採用するチェーン。資産をブロックチェーン・ネットワークに移行させるソフトウェア「チェーン・コア(Chain Core)」を企業に提供している。

大手金融機関との提携で生まれた開発者向け「チェーン・コア・デベロッパー・エディション(Chain Core Developer Edition)」では、プロトタイプの設計、構築、試験までが円滑かつエンド・ツー・エンドで行える。

チェーンは2014年にカリフォルニアで設立されて以来、ナスダックやVISA、シティといった国際大手から総額43700万ドル を調達。開発者がチェーン・コアでのアプリ開発を試せる「チェーン・テストネット(Chain testnet)」 では、Microsoft アジュールのBaaSプラットフォームをベースに、イスラエル工科大学とも提携している。

ピア―・ノヴァ――特許出願中の次世代ブロックチェーン

ピア―・ノヴァは、コンプライアンスや監査などに使用される金融サービス・アプリケーション向けの、データ完全性および不変性に優れたプラットフォーム「キューニフォーム(Cuneiform)」を提供している。

従来のブロックチェーンが分散型台帳、分散型コンセンサス、匿名のユーザーという3つの要素で構成されているのに対し、ピア―・ノヴァの特許出願中の技術は台帳を分散させることなく、あるいはユーザーを匿名化することなく、データの完全性を維持する。

インテル、IBM、VISA、半導体設計開発大手クアルコム、JPモルガン・チェース、HSBCなどで経験を積んだ専門家集団によって2014年にシリコンバレーで設立され、現在までに(2018年1月30日クランチベースデータ )3060万ドルの資金を調達している。米国大手通販「オーバーストック・ドットコム」も出資している。

シムビオント――スマートコントラクトを利用したシンジケートローン・システム開発

独自のスマートセキュリティー技術を用いたスマートコントラクト・プラットフォームを提供するシムビオント。2014年、ニューヨークで設立された。透明性が高く低リスク、低コストな新しいビジネスラインの開拓を目指し、アセットマネージャーや銀行、政府などがシムビオントのプラットフォームを採用している。

昨年4月には米国のFinTechスタートアップIpreoと共同で、「シナプス」を設立。R3、国際大手金融機関の協力の元、シムビオントのスマートコントラクトを用いたシンジケートローン・システム開発を成功させている(ユーロマネー2017年8月21日付記事 )。

ソフォクル・テクノロジーズ――金融から流通まで対応 次世代サプライチェーン・ソリューション

インドのウッタル・プラデーシュ州ノイダで2014年に設立されたソフォクルは、金融・医療・保険・製造・流通産業向けのブロックチェーン・ソリューションを開発している。

主なサービスはサプライチェーン・ファイナンス・ソリューション「ソフォキャップ(SofoCap)」、商品サプライチェーン・ソリューション「ソフォチェーン(SofoChain)」保険請求ソリューション「ソフォインシュランス(SofoInsurance)」など。

ブロックチェーン開発やコンサルティング・サービスも提供している。

モナックス――企業向けブロックチェーン構築用ツールキット

企業向けブロックチェーン構築用ツールキットを開発するモナックス

ブロックチェーンベースのエコシステムアプリケーションの運営・構築・試験・メンテナンスに使えるプラットフォームや、エコシステム・アプリケーション・インフラおよび事業プロセスのコンフィギュレーションやアセンブリーを可能にする「ソフトウェア開発キット」のほか、専門家によるサポートも提供している。

社名変更以前はエリス・インダストリーズとして知られており、ソフトウェア開発手法のひとつであるデブオプス(DevOps)の理論基盤となったアプリケーション・プラットフォーム「エリス(Eris)」を開発した(MEDICI2017年2月19日付記事 )。

ブロックチェーン技術そのものよりも、ビジネスにどのように活用するか―に重点を置いている

アプライド・ブロックチェーン――先端技術の専門家集団が立ち上げた強力なブロックチェーン・スタートアップ

ロンドンのFinTechアクセレーター「レベル39」にオフィスを構えるアプライド・ブロックチェーン。分散型台帳技術とスマートコントラクトを主な専門分野としている。

社内にブロックチェーン開発者を置き、独自のプライベート・ブロックチェーン・アプリケーションを開発。国際連合、トヨタ、シェル、ボーダフォンなどを顧客にもつ。

設立は2016年と企業としての歴史は浅いものの、ITアーキテクチャやビッグデータ、AI(人工知能)分野で20年以上の経験がある専門家集団が立ち上げたスタートアップだけに、基盤の強さでは飛びぬけている。

ソリッド・エックス――世界初「個人情報を共有しない」認証プラットフォーム

ソリッド・エックスは、ベーコン・ライト・キャピタルやヴィーダ・アイデンティティでトレーダーやCEOとしての経験を積んだダニエル・ガランシー氏によて、2014年、ニューヨークで設立された。リバティーシティー・ベンチャーズや米国の著名起業家ジェームス・パロッタ氏などが出資している(コインデスク2014年10月7日付記事 )。

2016年に発表した世界初の完全型ブロックチェーン認証プラットフォーム「VIDA」 では、企業がユーザーIDやパスワードといった顧客の個人情報を共有することなく、確固たる情報管理ができるシステムを提供している(同社2016年7月7日付PR)。 

タイムレズ――オランダ発 顧客管理からライフサイクル管理まで効率化

企業向けのスマートブロックチェーン・プラットフォーム「タイムレズ・エンタープライズ・ブロックチェーン・アーキテクチャー」を提供するタイムレズ。オランダ南部ホラント州デン・ハーグを拠点とする。

顧客管理から認証、アプリケーション・ライフサイクル管理、サポートまでを総合的に提供しており、企業が簡単にこれらの業務をブロックチェーン化する手助けをしている。1分間に10万件の認証が可能だ。

2017年12月にはスイスのブロックチェーン・スタートアップ、チェーンレッジャー・システムズとの提携環境を発表 し、欧州地域での事業拡大に乗りだした。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)