Home / ブロックチェーン / AIとブロックチェーン技術の融合が医療革命を起こす

AIとブロックチェーン技術の融合が医療革命を起こす

これまでのブロックチェーンの活用分野は、通貨や流通貿易がメインであったが、今、世界的に注目されている分野の一つが医療だ。AIの導入は、さらに少ないコストで高品質な医療サービスを提供する手段として期待されている。

高齢化社会をサポートするAI技術とその課題

(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)

日本のような高齢化社会を迎えつつある国では、医師1人あたりが受け持つ患者の数が増えることで、サービスの質が低下することが懸念されている。画像処理や大量のデータ解析に長けたAIを、医療データの管理や解析に導入し、患者のカルテに紐づいた検査結果の履歴を一ヵ所にデータとして集約することができれば、医師はスキャン画像などの目視チェックに多くの時間を費やすことから解放される。つまり、患者一人ひとりに対してより丁寧な診察をすることができるようになるのだ。

とはいえ、患者のプライバシー保護の重要性から、医療データはとりわけセンシティブに扱われなければならないものだろう。

AIの医療分野への進出については、すでにGoogle傘下のDeepMindと英国民保健サービス(NHS)と病院が提携した基盤づくりが始まっている。DeepMindのソフトウェアに大量のスキャン画像と症状を学習させ、スキャンデータのみから疾患を特定することを目指しているのだ。

ところがこの試みは、患者に十分な説明もないまま、急性腎臓障害などでNHSを訪れた160万人分の患者データがDeepMindに提供されたというNew Scientistの報道を受けて、多大な批判を浴びることになった。

ブロックチェーンを活用し、個人情報を暗号化

医療機関が企業に個人情報を渡したことは確かに問題であるが、患者本人のみならず、担当する医師たちも患者に対して具体的に施した措置の公開を避けたがる傾向がある。

そのため学会などで共有されない治療手段や臨床例は、各医師や病院内といった閉じたコミュニティのみで共有され、その病院から担当者がいなくなると同時にノウハウも記録に残らないまま消えてしまうという課題があった。

だが、個人情報から切り離された医療データを収集して解析するプラットフォームを世界中の医療関係者が共有することができれば、医師たちはこれまでにない知見を得ることができ、患者もより適切な治療を受けることができるようになるのは確かだ。

そこで、個人情報を扱う医療プラットフォームとしての信頼を得るために、DeepMindはブロックチェーンを活用して暗号化した患者の個人情報をリアルタイムで追跡できる「Verifiable Data Audit」を2017年中に導入すると発表した。

データの暗号化と変更履歴がすべて記録される分散型台帳を使用することで、個人情報の保護と勝手な改ざんの防止の両方が可能となるのだ。

AIとブロックチェーン技術で世界の医師不足を解消へ

AIとブロックチェーン技術を融合させた医療サービスは他にもある。

2017年8月24日にローンチした「Doc.ai」は、ブロックチェーンと人工知能を活用することで、グローバルに収集した大量の医療データから医師が洞察を得るための会話型プラットフォームである。個人ユーザーに対するサービスも提供しており、ディープラーニングによって解析されたデータを活用することで、彼らが抱えている健康上の悩みに対するフィードバックをすることも可能だ。

高齢化が進む先進国も、物資や人材、インフラが不足している発展途上国も、事情は異なるにせよ医師不足という深刻な問題を抱えている。世界保健機関(WHO)によれば、世界中で700万人の医師や看護師、医療関係者が不足しており、必要とされる医療関係者の人数と実際の人数との差はこの先もさらに開くと予測されている。

AIとブロックチェーン技術を融合させた医療プラットフォームは、医療先進国と発展途上国との医療格差を埋める一助になることが期待されるだろう。(提供:MUFG Innovation Hub

【編集部のオススメ MUFG Innovation Hub記事】
ペアトレードの新たな武器になるカブドットコム証券&アルパカの「AI」ツール
MUFG Digitalアクセラレータ第2期/日本橋兜町のオープンイノベーション拠点 “The Garage”
NVIDIAのモンスターGPU「Tesla V100」は、自動運転の未来をどのように変えるのか?
言葉の壁と機会損失の解消。インバウンド需要を捉えるTravelTechとは
民泊の宿泊先を決めるのは「レビューよりホストの顔」