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AI、ブロックチェーン、完全無人支店 バンカメが目指すロボット・バンク

「デジタル改革に最も熱心な銀行の1つ」として高評価を受けているバンク・オブ・アメリカ(以下バンカメ)が、銀行の在り方自体を変えようとしている。

リテール部門では支店の完全無人化を目指し、「ロボット支店」を米国でテスト中である他、米国特許商標庁(USPTO)に申請したブロックチェーン関連の特許は、既に40件に達している。自社のAI商品開発にも余念がない。

テスト運行中のロボット支店、今後の拡大を計画

(写真=BEST-BACKGROUNDS/Shutterstock.com)

バンカメ初のロボット支店は2017年2月、サンフランシスコにオープンした。支店の完全無人化が可能か否か、顧客の反応や業務パフォーマンスをモニタリングするためのテスト運行である。

バンカメの典型的な支店の敷地面積が465平方メートルであるのに対し、無人支店は約半分の規模だ。店内に設置されているのはATMとビデオ・カンファレンス室だけだ。スタッフと面談の必要がある際、顧客は予めモバイルアプリで予約をとり、遠隔地のスタッフとビデオ越しに対話する。

安全性を配慮して、カンファレンス室へのアクセスには、バンカメのATMカード、あるいはデビットカードが必要となる。

将来的には完全無人化を目指しているものの、完全デジタル化に不安を感じる顧客もいるという想定で、店舗内にもビデオ通話用の画面が仮設されており、必要に応じて「デジタル・アンバサダー」と呼ばれるスタッフが対応する。

支店の利用率が年々減少している傾向に基づいた、至って合理的なシステムだ。同社の発表では、モバイル・バンキングの利用者が2,260万人、年間ログイン回数が37億回(2017年3月データ)に達し、今やモバイル・チャンネルが顧客アクセス手段の主流になっているという。

同行は2017年4月の時点で3,500人ものデジタル・アンバサダーを雇用するなど、次々と店舗常勤のスタッフからビデオ通話用スタッフに切り替えている。また2018年にかけて、50~60店舗の完全無人支店の開設を予定している。

P2P、ハイブリッド・システムなど、ブロックチェーン関連の特許を次々と申請

コスト削減や効率化を狙った銀行業務のデジタル化は、バンカメに限った傾向ではない。大手金融機関がこぞってデジタル革命に着手するなか、バンカメもさまざまなテクノロジーに関心を示している。

金融市場のデジタル革命に欠かせない新技術となったブロックチェーンおよび仮想通貨領域でも、2014年6 月以来40件にもおよぶ特許を申請している。仮想通貨の保護を目的とした特許技術申請だけでも、2014年以来、10件という勢いだ。

最新の特許申請では「ハイブリッド・ブロックチェーン・システム」を取り上げており、階層化されたブロックチェーン・ネットワーク、あるいはパブリックとプライベート両方のブロックチェーン・ネットワークをベースとする、次世代システムの構築に挑戦している。

この、「包括的なブロックチェーン・システム」は、異なる下位層へのセキュリティーやデータ・アクセスを管理可能にすると共に、特定のプロセスを円滑化させるための分散型データベースとして機能する。

さらにはブロックチェーン技術を用いて、情報の信頼性だけではなく、情報を取り扱う業者の信頼性も検証するシステムや、P2Pシステムの特許も申請している。

AI分野では決済ソリューションの提供や、チャットボットを開発

AI分野では、テキサスを拠点に活動するSaaSスタートアップ、High Radiusと提携し、独自の売掛金決済サービス「Intelligent Receivables」を開始している。

決済取引量の多い企業向けのソリューションで、High Radius のAI技術を利用して、送金情報エラーによる決済不完了を防止する。

また顧客のお金の管理に役立てる意図で、チャットボット「Erica」の開発を2016年から手掛けている。試験版はラスベガスで開催されたカンファレンス「Money 2020」ですでに公表されているが、未だ実用化の段階には至っていない。

人種差別発言で停止を余儀なくされた、Microsoftのチャットボット「Tay」の二の舞にならないよう、念には念を入れているという印象を受ける。

積極さと冷静さのバランスがとれたアプローチ?

80行以上の大手金融機関が参加するブロックチェーン・コンソーシアム「R3」 にも、2015年9月に加盟し、2017年5月にはSBIグループの主導による資金調達ラウンドを通して、総額1億ドル以上の共同出資を行っている。

R3独自のブロックチェーン技術を、新たなアプリの開発や金融機関を含む企業との技術提供に役立てることが狙いだ。

チーフ・オペレーションズ及びテクノロジー・オフィサーのキャサリン・ベサント氏は、ブロックチェーンが自社にとって、「非常に興味深い技術」であると語っている。

それと同時に歴史の浅い技術ゆえに、「保守的に徹するつもりはないが、商業用アプリとして採用するには時期尚早だ」と、採用には慎重なスタンスだ。

多数の特許技術の開発を貪欲なまでに進める一方で、ブロックチェーンという新たな技術に秘められた、既存の金融システムを根底から改革する可能性を注意深く検証している。

ある意味ブロックチェーン熱が「流行り物」の域に達した近年、積極さと冷静さをバランスよく兼ね備えたバンカメのようなアプローチが、長期的な利益を生みだすのかも知れない。

(提供:MUFG Innovation Hub

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