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SWIFTが挑む国際ブロックチェーン決済革命 即日海外決済は実現するのか?

ベルギーに拠点を置く世界最大の決済機関SWIFTが2017年1月、次世代決済システム移行へのカギを握るといわれるブロックチェーン技術のPoC(概念実証)に着手した。

ブロックチェーン技術を既存の国際決済システムに組み込むことで、リアルタイムなプロセス追跡と即日決済を可能にするという試みだ。また銀行が必要な資金を算出しやすくなるため、余分な資金を他の投資などに回すことができるという点で、経済の活性化にも貢献すると期待されている。

ノストロ・アカウントのリアルタイムな管理を目指す

(写真=nednapa/Shutterstock.com)

今回のPoCは、新たな国際決済サービス開発プロジェクト「SWIFT GPI(Global Payments Innovation:国際決済イノベーション)」の一環だ。

機密性を維持する目的で、リナックス・ファウンデーションによるブロックチェーン・ソフト「Hyperledger Fabric v1.0」 と自社の技術を組み合わせている。

PoCの意図するところは、ノストロ・アカウントのリアルタイムな銀行残高調整が、ブロックチェーン技術によって向上可能かとの探索だ。

ノストロ・アカウントとは資金決済を行う当方が外貨建てで保有する決済口座で、銀行間の外国為替取引の際、外貨の決済口座を相手銀行に告知する。

これまで金融機関はノストロ・アカウントを世界各国・地域に保有することで国際決済の流動性を維持してきたが、国際決済の増加に伴い、管理・モニタリングが困難になりつつある。また現時点ではリアルタイムの管理が不可能という難点もある。

このまま放置できる問題ではないことは、取引量の増加を見れば一目瞭然である。2012年には99億件、総額20.5兆ドルだった取引量は、2022年には207億件、54.8兆ドルにまで増えるとBCGグローバル・ペイメント・モデルは予想している。

ビジネス上の恩恵と消費者サービスの向上に貢献

SWIFTの試みが成功し、ノストロ・アカウントのリアルタイム管理が実現すれば、「銀行は決済に必要となる正確な金額を把握することが出来るため、余分な資金をほかの投資に回せる」という。潜在的なビジネス上の恩恵を、多大に秘めているわけだ。

また国際決済の透明化やスピードアップが図れるという点で、消費者サービスの向上にもつながる。低コスト、スピードを重視するオルタナ国際決済サービスとの競争力が強化されるはずだ。

SWIFT GPIの総体的なゴールは、国際決済構造の改革だ。ブロックチェーン技術によって、受益者の口座への入金通知から送金情報まで、手数料を含む取引プロセスの大幅な透明化を図ることで、さまざまなポジティブ効果が期待されている。

また、SWIFT GPIの主要ターゲットは、企業と銀行だ。第一段階では、B2B決済の向上に焦点を置き、国際事業拡大のチャンスを企業に提供する。第二段階では、今回のPoCによる取り組みに代表される、銀行間の国際決済システムの向上を行う。

100行を超える銀行が参加するSWIFT GPI

「協力はイノベーションの土台である」というバンキング・マーケッツおよびSWIFT GPIの責任者、ウィム・レイマーケルス氏の言葉通り、多数の金融機関がSWIFTの試みに関心を示し、すでに世界中から100行を超える銀行がSWIFT GPIに参加している。

2017年2月の本格的なプロジェクト立ち上げ当初から参加していたウェルズ・ファーゴやカナダロイヤル銀行、ANZ(オーストラリア・ニュージーランド銀行)に加え、2017年8月現在はBBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)、JPモルガン・チェース銀行、ロイズ銀行、ドイツ銀行、コメルツ銀行、サンタンデール銀行、中国建設銀行、中国民生銀行など、FinTechの促進に熱心な大手金融機関行がPoCに協力している。

金融機関からの強力な支援とSWIFTの技術を集結することで、レイマーケルス氏は顧客が求めている「より確実で、透明性の高い、追跡可能な国際決済法」を、SWIFT GPIが実現できると確信している。

2016年10月のテスト運行に、ウェルズ・ファーゴと共に協力したANZトランスフォーメーション・プロジェクツ部門のジェネラル・マネージャー、ナイジェル・ドブソン氏は、ノストロ・アカウントのPoCも含め、「ブロックチェーンが金融機関と顧客にもたらす未来の恩恵に、希望を抱いている」と述べている。

(提供:MUFG Innovation Hub

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