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時計に続く「スマート化」スマート衣服が拓く道

デジタル技術やITを活用して、私達の身の周りのさまざまな製品がスマート化してきた。電話機はスマートフォンに、時計がスマートウォッチに、スマートメーターやスマートグリッドなどエネルギー管理でもスマート化が進んできている。

そのなかで、衣料にさまざまな機能を付加したスマート衣服も登場してきており、新しいプロダクトとして今後注目を集めそうだ。今回はスマート衣服の開発や応用の動向を紹介する。

バイタルサインを計測してクラウドが解析を実施

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(写真= Bojan Milinkov/Shutterstock.com)

スマートウォッチやスマートフォンのヘルスケアアプリで身体の状態を計測する仕組みはすでに実装されている。しかし衣服はそれらと比べて人の身体と直接触れている範囲が比較的大きいため、こうした仕組みの応用に最も適していると言えるのかもしれない。

実際に、センサーを搭載して運動中や睡眠中に心拍数・血圧・消費カロリーなどを測定してくれるという衣服が登場してきている。

ロンドンの技術コンサルティング企業Cientificaが2016年9月に発表した市場調査レポート「スマートテキスタイルおよびウェアラブル:市場、アプリケーション、および技術」では、スマートテキスタイルの世界市場は、2025年までに1,300億ドル(約14兆円)を上回ると予測している。

衣料品メーカー大手のグンゼ株式会社はNECと協働で、姿勢、心拍などのバイタルデータを計測できる機能性ウェアとクラウドサービスを利用した、姿勢改善や肩こり予防のためのサービスプログラムの開発を進めているところだ。

導電性繊維のウェアで身体の姿勢も検知

グンゼ株式会社とNECが開発中の機能性ウェアはセンサーによって心拍数などのバイタル情報に加えて、姿勢の検知も行える特徴を持っているという。公表された情報によれば、ウェアは導電性繊維で作られており、伸縮するとその抵抗値が変化する。これにより着用者の姿勢を検出するという仕組みだ。検出した情報はクラウドに蓄積され、データを統計的に分析することでユーザーへフィードバックされる。

さらに、Tシャツと同等の着心地、洗濯しても繰り返し使える耐久性なども備えており、従来の衣服と変わらない使い方ができるそうだ。

現在ではまだ、スマート衣服は実用化検証の途中だが、グンゼ株式会社のグループ会社であるグンゼスポーツ株式会社の会員サービスとして近い将来に提供される予定とのことだ。実現すれば、トレーニング時のバイタル情報から的確な運動量をアドバイスするといったサービスだけではなく、姿勢改善や肩こり予防ができるサービスも可能となる。

つまり、スマートデバイスや導電性繊維、クラウド、IoTといった技術を組み合わせて、具体的なサービスの開発や提供が進むフェーズに入ってきているということだ。

スマートウェアの建設現場や工場の安全管理への応用も

他にも、スマートウェアの開発、導入例は登場し始めている。大手ゼネコンの大林組は建設現場や工場などの安全管理を向上させるサービスへのスマートウェアの応用を目指している。就労者が安全に働ける環境を整備するために、バイタルセンサーと環境センサーを活用する狙いだとみられる。

バイタルセンサーには、東レ株式会社とNTTが開発した機能素材を、環境センサーには大林組が開発した暑さ指数ウォッチャーを活用。収集した情報をクラウドに集約し、大林組の独自カスタマイズ基準を用いて安全管理を行うという。

大林組は「作業員のバイタルデータ心拍数および作業姿勢傾きと、作業場所ごとの環境データ暑さ指数(WBGT)が可視化されることから、作業員本人や管理者などがタイムリーな体調管理や、事故防止を目的とした対策を講じることができるようになる。」としている。

さらに、介護や医療、保育、学校、ゲームセンター、ネットカフェなどの業態でも、スマート衣服を活用したサービスが実用化されようとしている。今後、どのようなサービスが開始していくのか、目が離せそうにない。(提供:MUFG Innovation Hub

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