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ゴールドマンが「社員が勤務先から融資を受けられる」スタートアップに1億円投資

ゴールドマン・サックスが英国のFintech融資スタートアップNeyberに、1億ポンド(約146億円)を投資する。

Neyberは元ゴールドマンのエクゼクティブが立ち上げた企業で、「従業員は雇用者から融資を受けることができ、給与から天引きで返済する」という一風変わったシステムを採用している。

既に同国の大手保険会社Bupaやロンドン・シティ空港、NHS(国民保健サービス)など、企業から政府機関までがNeyberの融資および金融リテラシーサービスを従業員に提供している。

アフリカの風習から発想を得た共同出資システム

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

Neyberはゴールドマン・サックスの欧州アジア・スペシャル・アセット部門でリスクマネージャーを務めたマーティン・イジハ氏 と、同じくゴールドマンの欧州銀行エクイティ調査部門でリサーチ・アナリストだったモニカ・カリア氏 が中心となって2014年に設立した。

Neyberは雇用者が従業員に低金利で貸しだせるローンのほか、「従業員の金融リテラシープラットフォーム」も提供している。ローンの貸しだし上限は2.5万ポンド(約365万円)、返済期間は最長5年。年利は4.9%で返済分が毎月従業員の給与から天引きされるというシステムだ。

従業員は金融リテラシー・プラットフォームを通し、お金の管理や貯蓄、投資などに関する知識を身につけることが可能だ。

看護婦だったイジハ氏の母親はアフリカの風習「Sou Sou(共同出資)」に倣い、職場仲間と容器の中にお金を貯め、月末になるとそのうちの一人が貯まったお金をもらえるという、共同貯蓄を行っていた。Neyberはその発想から生まれたという 。

融資が必要な従業員にとっては、金融機関などから融資を受けるよりも、勤務先から借り入れした方が安心感が強いだろう。給料から直接返済するので、返しそびれるという心配もない。

ゴールドマン「従業員の経済面での健全性確保は、雇用主にとって重要」

こうした斬新な発想で、Neyberは過去5回の資金調達に成功している 。

最も最近では2017年4月にドイツ銀行のCOOヘンリー・リッチョッテ氏(シリーズB /750万ドル)、インドのワドハワン・グローバル・キャピタル(シリーズC/2100万ドル)、8月にゴールドマン・サックス(シリーズC/1億ドル)、リッチョッテ氏とクレディスイスEMEA証券部門のゲール・デ・ボアサールCEO(債券金融/1500万ドル)から、資金を得た。

ゴールドマン・サックスのプライベート・キャピタル・シニア・エクゼクティブのデニス・ビーソン氏は、「従業員の経済面での健全性を確保することは、雇用主にとって重要である」とし、Neyberが持続可能な次なる融資市場の主力となることを確信している(CITY A.Mより )。

Neyberが2016年に英国の従業員1万人、雇用者5000人を対象に実施した調査では 、従業員の33%が経済的な不安を抱えていることが分かっている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)