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フォードが自動車ローンに「機械学習」を導入

フォードの自動車融資部門、フォードモーター・クレジット・カンパニーが、信用リスク分析プラットフォームを提供するゼスト・ファイナンス と提携し、既存の審査基準より精密度の高いシステムを導入する。

機械学習技術を取り入れた審査法で、まだ十分な信用情報を持たないミレニアム世代に融資の機会を提供することで、売上増加を狙った戦略だ。

機械学習技術で精密度の高い自動車融資審査を

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

提携関係の発表を報じたビジネスワイヤーなどによると 、フォード・ファイナンスはクレジットスコア(過去の返済履歴を数値化した信用評価法)を含む従来の審査を廃止し、ゼスト・ファイナンスの機械学習自動車融資プラットフォーム「ZAML」を取り入れた、次世代融資審査システムに移行する。

ZAMLは自動車融資申込者の返済能力を、複雑なアルゴリズム分析によって評価するツールだ。

導入にあたり、ZAMLを利用した審査結果とフォード・ファイナンスの従来の審査結果の精密度を比較する実験が行われ、ZAMLの方がはるかに精密度の高い評価をだすことに成功している。ZAMLはフォード・ファイナンスの過去数年の融資データから信用リスクモデルを構築し、最優良からサブプライム(優良以下)の4段階に振り分けた。

売上増加の目的で無条件に審査基準を緩めるだけでは、深刻化しているサブプライム層への融資問題を悪化させる恐れがある。しかしZAMLならば、精密度の高い分析で、真の返済能力が評価できる。

低迷する自動車市場、新たな融資戦略で心機一転となるか?

従来の融資審査法は過去の履歴に基づいているため、若い世代あるいはクレカや融資を利用したことのない消費者には不利に作用するという欠点がある。

しかしミレニアル世代が「子ども時代を前金融危機で苦しむ大人を見て過ごした影響から、無謀な借金をする傾向が低い」点は、様々な調査結果から明らかになっている。年齢に重点を置いた融資審査は、消費者にとっても企業にとっても決して有益とはいえない。

またゼスト・ファイナンスの設立者ダグラス・メリル氏が指摘している通り、ミレニアル世代の消費力は20年までに1.4兆ドルに達すると見込まれている。売上倍増を狙うフォードのような企業にとっては、大いに期待できる市場だ。

フォードの米国における17年1~7月までの売上は4.3%減少(前年同期比)。同国では新車の需要自体が2.8%落ち込んでいる(Edmunds.com )。

契約査定基準の強化に伴い、自動車融資市場も後退が目立つ。自動車融資では世界最大の市場シェアを占めるウェルスファーゴですら、第2四半期には45%も融資件数が減った。
フォード・ファイナンスのように、購買意欲と消費力に溢れた潜在的顧客層を広く、かつ効率的に開拓することで、消費支出を煽動するという戦略は、低迷した自動車産業の起爆剤になるかも知れない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)