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1秒間で40万件以上の高速取引処理が可能に?次世代ブロックチェーン「Red Belly」

「1秒間で40万件以上の取引処理ができる超高速次世代ブロックチェーン」を、シドニー大学の研究チームが開発中だという。

「Red Belly」と呼ばれる新たなブロックチェーン技術は、瞬時並行処理でトランザクションの速度を大幅にアップする。またフォーク(分岐)しない特質を備えているため、「二重支払い」の原因を排除するなど、セキュリティの強化も期待できる。

VISAの7倍を超える速度での取引処理に成功

(写真=Chakis_Atelier/Shutterstock.com)

シドニー大学のスクール・オブ・インフォメーション・テクノロジーズが中心となって開発を進めているのは、世界中で安全な仮想通貨の即時取引を可能にする次世代ブロックチェーン技術だ。

開発者の一人であるヴィンセント・グラモリ氏は、「最近のテストでは100台のマシーンで一秒44万件以上の取引に成功した」と発表している。

具体的な比較例を挙げると、ピーク容量が5万6,000件とされるVISAの7倍を超える速度ということになる。一秒7件の取引が限度とされるビットコイン・ネットワークとは、比べものにもならないレベルだ。

PoW型ブロックチェーンの「二重支払い」を根本から解決

画期的なのは取引速度だけではない。ビットコインを含む仮想通貨につきまとう「二重支払い」問題――いわゆる、二重取引の解決策としても期待が高まる。

二重支払いは何故起きるのか。デジタル・データである仮想通貨や電子決済システムは、データの複製が容易にできる。それゆえに、同じプライベート・キー(秘密鍵)を使って、ビットコインを二つの取引で使用するという不正行為も可能になる。

二つの異なる取引データがネットワークを介して伝播することで、結果的に両方の取引が承認を受けるという仕組みだ。

ビットコインではブロックチェーンと「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」というデータ算出システムを用いて各取引の承認・管理を行うことで、このような二重支払いを未然に防ぐ対策がとられている。

しかしPoW型ブロックチェーンの場合、意図的にブロックチェーンのブランチを残りのノードからフォークさせることで、強制的に二重取引を実行させる――つまり「バランス攻撃」を仕掛けることが可能だ。

「Red Bellyはフォーク(分岐)しないブロックチェーン」であるため、バランス攻撃を回避し、二重支払いを根底から解消できるという。

フォークするブロックチェーンはコンソーシアムに不向き?

フォーク問題はPoWを使用したブロックチェーンが抱える最大の課題だ。8月1日にはビットコイン分裂が懸念された「フラッグ・デー」が世間を騒がせ、中国勢が新たに「ビットコインキャッシュ(BCC)」という通貨を誕生させる見通しだが、既存のブロックチェーンの多くがフォークする可能性を備えているため、そもそも「バランス攻撃」に対して脆弱性があると、シドニー大学の研究チームは捉えている。

研究チームが実施したPoW型ブロックチェーンの実験では、イーサリアムのプロトコルを対象にしているが、ビットコインやライトコインを含むPoWをコンセンサス・アルゴリズムとする、全てのブロックチェーンに該当するとされている。

詳細は「バランス攻撃、またはなぜフォーク可能なブロックチェーンはコンソーシアムに不向きなのか(The Balance Attack or Why Forkable Blockchains Are Ill-Suited for Consortium)」というレポートで説明されている。

Red Bellyが実用化されれば、複数の組織や企業による共有管理に適切とされるコンソーシアム型ブロックチェーン よりも、毎秒何十万件もの取引を安全に素早く処理できるという点で遥かに優れたブロックチェーンが「世界経済に革命を起こす」ことになるだろう。

研究チームは次のステップとして、安全性の確立に向け、コンセンサス・インスタンスの参加者の選択を自動的に行う、推薦システムの開発に着手する。またエンドユーザーがどこからでも取引を行ったり残高をチェックできる専用のウォレットが、近日中にリリースされる予定だ。

8月1日のフラッグ・デーはビットコインにとって大きなマイルストーンとなるイベントだったが、今後もこのような技術的試行錯誤が続いていきそうだ。

(提供:MUFG Innovation Hub

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