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ビットコインの救世主「SEGWIT」スケーラビリティ問題は解決されるのか?

2017年3月の市場価格の急落などが話題を集めるビットコインだが、最重要問題として議論されることの多いスケーラビリティについては、いまだ決定的なソリューションが断定されていない。現時点ではSEGWIT(Segregated Witness)とライトニング・ネットワーク(LN)の組み合わせが、最も有力なソリューションとして注目を浴びているが、ここにきてLitecoinを嚙合わせるという面白い発想が飛びだしてきた。

スケーラビリティ問題とは?

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(写真=3Dsculptor/Shutterstock.com)

「スケーラビリティ」とはこの場合、ビットコイン取引の処理能力、つまりシステム規模に対する拡張性を指す。ビットコインの中核となるブロックチェーンは、取引履歴を一つのブロックにまとめて記録し、ネットワーク上に分散して保存する。ブロックはチェーン状につながれていくため、データ変更や改ざんが不可能になる。

しかし各ブロックに記録できる容量は1MB と制限が設けられていることから、データ処理速度が他の決済システムより遅いというのが難点だ。ビットコインの取引量が増加するにつれ、かねてから懸念されてきたデータ処理の延滞などが報告され始めた。

ライトニング・ネットワークとSEGWIT

そこで注目を集めているのがライトニング・ネットワーク(LN)とSEGWITの組み合わせだ。

ビットコインを用いた新たな取引手段として注目されている「ペイメント・チャンネル」は、オフチェーン上で取引を実行することで、仮想通貨ネットワークで取引を発生させないという特性がある。つまり、スケーラビリティ問題のソリューションとなる可能性を秘めているというわけだ。

しかし、ペイメント・チャンネルは通常2者間の取引に限定されているため、複数の取引を実行した場合などは何かと不都合が生じる。そこで、第三者を経由してペイメントチャネルで繋がっている人であれば、誰にでも送金可能とするLNを利用することが代替案となる。しかし、今度は電子署名データの書き換えなどで改ざんのリスクがあがるというジレンマが存在していた。

このソリューションとして、SEGWITが必要不可欠になるのである。SEGWITの仕組みを簡潔に説明すると、電子署名データを分離、格納してブロック内に空きを作るというものだ。その仕組みにより、取引可能な実質容量は約2倍に増えるという。

「SEGWITは単なるスケーラビリティのソリューションではない」

一方で、別の動きも存在する。Bitcoinに次ぐ人気の仮想通貨Litecoinは2月、SEGWITの適用を問うマイナー(採掘者)投票を開始。2017年3月19日の時点で24%の支持を得ている。これについては少々予想外の動きだったともいえる。取引認証速度がBitcoinよりもはるかに早く、ストレージの効率性に優れているはずのLitecoinに、なぜSEGWITが必要なのだろうか。

開発者であるチャーリー・リー氏は、SEGWITが単なるスケーラビリティのソリューションにとどまらない点を主張している。SEGWITの主なメリットは両通貨に共通するシステムの脆弱性「トランザクション・マレアビリティー(展性)」の改善にあるという。

前述したとおり、SEGWITはデータを分離、格納できるというメリットがあり、もともとライトニング・ネットワークに実装するという前提で書かれていたが、そのメリットはLitecoinでも活きる、ということである。

理想的組み合わせはLN、SEGWIT、Bitcoin、Litecoin?

リー氏は理想的な組み合わせとして、LN、SEGWIT、Bitcoin、Litecoinの4つを挙げている。

Bitcoinのブロックサイズが1MBであると想定した場合、リー氏の計算では「LN、SEGWIT、 Bitcoinの組み合わせだけでは5億人 のユーザー利用に拡大するのが限界」だという。可能な限り多くのユーザーに仮想ネットワークを普及させたいと考えているリー氏にとって、5億人という数字では不十分のようだ。

そこでBitcoinの4倍の速度でブロックを生成するLitecoinの出番となる。Bitcoinが10分ごとにブロックを生成するのに対し、Litecoinはわずか2.5分でブロックを生成する。単純に計算すると、最低でも20億人までユーザーを拡大することが可能になる。リー氏は「Bitcoinが渋滞の高速道路だとすると、Litecoinはがらがら」と形容している。

リー氏はもう一つ、Litecoinを組み合わせる利点として「低コスト」を挙げている。LNを通した取引手数料を比較すると、BitcoinよりもLitecoinの方がはるかに安い。
2種類のLNに同時対応できるというLNの特質を活かし、「LN取引自体にはLitecoinを用いて手数料を抑え、Bitcoinに変換する方が経済的」と提案している。

しかし、これでスケーラビリティ問題が一挙解決というわけでもなさそうだ。SEGWIT にも越えるべき壁が立ちふさがっている。

SEGWITがかかえるリスク

2016年11月、BitcoinはLitecoinより一足早くSEGWIT投票を開始した。最初の1ヵ月間で支持率が20%まで急速に伸びたもののその後頭打ち。2017年3月18日現在は26%で低迷している。実装実現には採掘者から95%の支持を得る必要がある。

期待されていたほど支持率を得ていない原因として、取引容量の増加によるノードなどの集中化、検証時間の増加、将来的な採掘報酬の大幅低減のほか、ソフトフォーク(既存の有効ブロックを無効化し新ルールを導入するなど、最新のアップデート)とは切っても切れないリスクへの懸念が高いようだ。分かりやすい例としては、Segwit対応のウォレットが必要(旧バージョンではビットコインが利用できない)、ブロックチェーンの分岐が生じ取引無効・二重決済などが起こりうる、などだろう。

SEGWITの効果を最大限に引きだすためのBitcoinの技術的な試行錯誤は今後も重ねられて行くと予想される。

(提供:MUFG Innovation Hub

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