Home / ブロックチェーン / ビジネス特化型オープンソース・ブロックチェーン「Hyperledger Fabric1.0」

ビジネス特化型オープンソース・ブロックチェーン「Hyperledger Fabric1.0」

「Hyperledger fabric」とは?

ブロックチェーン,オープンソース,ビジネス特化,Hyperledger Fabric1.0
(写真=chombosan/Shutterstock.com)

IBM、富士通など120以上の企業・組織が参加するブロックチェーン技術促進コミュニティー「Hyperledger」。さまざまなオープンソース・プロジェクトを支援する非営利のコンソーシアムLinux Foundationが中心となり、2015年に設立された。

「Hyperledger fabric」は、Hyperledgerが手がけるオープンソース・プロジェクトをビジネスに特化させ、管理者によるアクセス制限を設定したパーミッション型のブロックチェーンだ。「プライバシー」「機密性」「監査能力」「パフォーマンス」「スケーラビリティ」という点で、ビジネス環境により適した設計になっている。

主な特徴としては、メンバーシップ・サービスなどを実装し、ビジネスネットワーク内のアクセス権を設定できる他、取引の暗号化などで安全性や透明性、アカウンタビリティを追求している。また、ブロックチェーンと組み合わせて適用されることの多いプロトコルであるスマート・コントラクトにロジックを組み込むことで、ネットワーク内のビジネス・プロセス自動化が可能になった。

v0.6の問題点を改善したv1.0

新バージョンfabric 1.0では、旧バージョン0.6の問題点が改善されている。より高度な機密性、一定時間内に処理できる取引量やネットワーク参加者の拡張性、プラガブル(接続可能な)・データストア、新バージョンへのアップグレードが実現したほか、複数のメンバーシップサービス・プロバイダーと接続できる。

v0.6の構造が「アプリケーション(SDK)とメンバーシップ(ECA、TCA、TLS-CA)間の登録」と「アプリケーションと接続先であるピアー(コンセンサス、レジャー、チェーンコード、イベント)の取引」で構成されていたのに対し、v1.0はアプリケーションからピアーにプロポーザルあるいは申請を行い発注者に取り次がれた後、再びピアーに戻される。

この構造上の差異が、より快適で安全なブロックチェーン環境の創出に役立っている。将来的にはFabricネットワークにプラグイン可能な、ほかのタイプのコンセンサスを採用することも検討されている。

日本のインキュベーション「Iroha」も進行中

Hyperledgerのプロジェクト・インキュベーションも、ますます幅を広げている。Fabric関連ではIntelによる「Sawtooth Lake」と日本のブロックチェーン・スタートアップ、ソラミツ株式会社による「Iroha(いろは)」に注目したい。

「分散型台帳を構築、展開、運営するための高度にモジュール化されたプラットフォーム」というIntelの説明どおり、Sawtooth Lakeは「認証不要の環境(permissionless environment)」を提供する目的で生みだされた。認証プロセスが不要なため、ビットコインに付随する計算資源問題から解放される。

Intelはプラットフォームの合意形成にあたり、実行環境(TEEs)を構築する抽選プロトコル「PoET(経過時間の実証)」をモデルに採用している。

「Iroha」はFabricの構造に合わせたインキュベーションで、C++コードを実装している。「理解・開発しやすいシンプルな設計」「簡単発行、送受信も可能なデジタル資産」「スマホ対応」を特徴としている点もユニークだ。

Hyperledgerの魅力は、技術と興味さえあれば誰でも参加できるという点だろう。Fabricに関するコード情報は「Gerrit」「GitHub」、Dockerイメージは「DockerHub」から入手できるほか、開発者向けサポート「Hyperledger Slack channel」など、支援・促進環境も万全だ。

今後一層、Hyperledgerの研究が進むことが予想される

Irohaを提供するソラミツ株式会社はすでに、国内の複数の金融機関との共同研究やシステムの共同開発を進めている。Fabricのバージョンアップにより、今後より大きなスケールでの実証実験などが進むことが予想される。

2017年の3月に米国のオースティンで開催されたビジネスイベントであるSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)でもHyperledgerを用いたハッカソンが開催されており、引き続き開発者たちの注目を集めている。今後も、各テクノロジー企業や金融機関の動向に注目すべきだと言えそうだ。(提供:MUFG Innovation Hub

【編集部のオススメ MUFG Innovation Hub記事】
カブドットコム証券とゼロビルバンク MUFGのアクセラレータプログラムで生み出された「OOIRIコイン」
IoT×AIで加速する「第四次産業革命」の構造的な影響力とは?
ビットコインの救世主「SEGWIT」スケーラビリティ問題は解決されるのか?
折り紙マスターの味方はブロックチェーン、折り図の著作権を保護へ
人手はいらなくなるか?ブロックチェーンとコグニティブAPIで自動化される保険ビジネス