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「オープン」だけじゃ足りない、イノベーションに必要な「スカンクワークス」

イノベーション,スカンクワークス
(写真=Jirsak/Shutterstock.com)

 

イノベーションを起こすべく、政府や企業が知恵を絞ってきた。FinTechはさることながら、人工知能(AI)、IoT、ロボティクスなどさまざまな分野で開発競争が激化している。

実際、デロイトトーマツ コンサルティングの「イノベーションマネジメント実態調査2016」によれば、イノベーションマネジメントをランク付けした上位企業の売上高の年平均増加率(CAGR)が10.1%と、上場企業全体での平均である6.2%よりも優れている。

「オープンな環境」にすればいいわけではない

革新的な製品・サービスを創出するために求められる技術は高度化、多様化が求められているといえるだろう。そのための手段として、一部の大企業はすでに外部のアイデアや技術、人材を活用した「オープンイノベーション」に取り組んでいる。コーポレート・ベンチャーキャピタルの運営やアクセラレーションプログラムの開催などが代表的だ。だが、こうした取り組みが本当の意味での成功につながるかは、それほど単純ではない様子だ。

オープンイノベーションの成功には「同調圧力」の回避が不可欠である、との示唆を含む論文が2016年にオックスフォード大学ビジネススクールの教授たちによって公表されている。この論文の中では、モバイル・バンキング用アプリの開発を試みる、という想定で運営されたアイデアフォーラムの例が触れられている。そのフォーラムでは、オープンな場でアイデアを交換したグループより、限定的なコミュニケーション環境下で意見交換を行ったグループの提案のほうが優れていたという。

iPodやiPhoneでエレクトロニクス市場にイノベーションを起こしてきたアップルのスティーブ・ジョブズ氏のもとでデザイナーを務めたジョナサン・アイブ氏も、創造的なアイデアは壊れやすいと語っている。他にも、ピクサーを率いてきたエド・キャットムル氏も「新しいアイデアが守られるカルチャー」の大切さを説いている。

たとえ多様性に満ち、オープンかつ公平な場であるとしても、自身のおぼろげなアイデアが反発や批判にさらされてしまうことを想像すればどうなるだろうか。つまり、イノベーションを起こし成果につなげるためには、単に外部のスタートアップや見識のある機関と協力し、すべて透明化した環境でプロダクトやサービスを開発すればいいのではない。壊れやすいが斬新なアイデアを確固たる存在に育てる時間が必要なのだ。

「スカンクワークス」が加速させるイノベーティブな開発

そこで注目されるのがアイデアの開発過程だ。革新的な製品を数多く産み出してきた企業において、「スカンクワークス」という秘密裏に進められるプロジェクトが存在してきたことが参考になる。最初は、組織全体に対して開発中のプロダクトを公開せずに隠れて開発を行う。その後、プロダクトが形になってきた段階で組織内でも承認を得ていくというものだ。

かつて革新的な製品を数多く開発してきた日本企業において、技術者たちによる「闇研」と言われる活動が存在してきたことにも通じるだろう。

こうした環境が用意されていた結果、アイデアが育まれ今までになかったプロダクトを開発できたのだ。自社とスタートアップなど社外のプレーヤーと共に、革新的な製品やサービスをつくりだそうとする動きにおいても同様だろう。

あえて、クローズドに設定された場を

資金や人的なリソースに優れた大企業、事業創出に知見のあるベンチャーキャピタル、そしてアイデアと技術、情熱を持つスタートアップなどが共にイノベーションの創出をするためには、あえてクローズドな場でアイデアが深掘りされる過程をつくらなければならないといえそうだ。オープンイノベーションを掲げたプログラムが普及するに従って、こうした場をつくり上げる運営側の力量がより試されるフェーズにきていることは間違いない。(提供:MUFG Innovation Hub

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