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感情はプログラムできるのか? ペッパーにみる感情エミュレーションのリアリティ

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(写真=PIXTA)

 

鉄腕アトムやドラえもんなど、日本ではロボットの人気アニメキャラクターが数多く生まれている。ロボットでありながら人々に愛されてきたのは、その感情の豊かさからではないだろうか。

今まで、機械とソフトウェアで作られるロボットがココロを持っているのは、マンガの世界の中でのことだった。しかし、今では現実でも「ココロを持つロボット」が身近なものになりつつあるのだ。ソフトバンクが2015年に発売したペッパーはその一つで、人工知能(AI)を搭載し、感情を持つロボットとして売り込まれている。一見して疑問の残る「ロボットの感情」のメカニズムと、感情を持つがゆえに生じる課題を見ていきたい。

人間の感情メカニズムを応用するペッパー

ソフトバンクグループの孫正義社長は2015年に行った講演で、ペッパーはどのような感情メカニズムを持っているかについて解説している。

孫社長によれば、ペッパーの感情は人間の感情の動きを模しているという。

前提として人の感情のメカニズムを少し解説すると、脳内で生じる思考や感情といった心の動きは、ニューロン(神経細胞)がネットワークを形成して、他にニューロンとの間で電気信号をやり取りすることで生じる。また、「見る」「聞く」「知る」という外部から入ってくる情報への反応と、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンのホルモンの相互作用によって、感情が起きるメカニズムになっているのだ。

このようなニューロンの電子信号のオン・オフや、ホルモンの影響による感情を引き起こすメカニズムをコンピュータ上で表現できれば、ロボットにも感情を持たせられるということだ。

実際に、ペッパーの感情メカニズムはそのアイデアをもとに作られているという。つまり、人間と同じように外部の環境からのインプットによる神経反応やホルモンのバランスの変化をコンピュータで疑似的に表現することで、ロボットに感情を持たせているというワケだ。

より具体的に言えば、ペッパーはクラウドコンピュータにつながっており、AIでもある感情生成エンジンと連携している。同エンジンによって作られた喜怒哀楽を表現でき、外部環境との関係で感情の動きも変化するという仕組みである。

例えば、ペッパーのデモンストレーションでは照明を暗くすると、「不安」「悲しい」という否定的な感情が大きくなる一方で、明るくすると「安心」「楽しい」といった肯定的な感情が大きくなる。外部からのインプットで、抱く感情が変わってしまうのだ。

ペッパーが感情を学習する

ペッパーの場合には、他にも感情を豊かにする仕組みが組み込まれている。外部環境の動きから感情を生み出すメカニズム自体が進化し、新たな心の動きを生み出すのだ。

一例をペッパーのテレビ番組で見ることができる。番組の企画で、ペッパーが将棋棋士の羽生善治氏と花札で対戦した。ペッパーは花札に負け続け、その際にペッパーの感情もある特徴的な変化を見せたのだ。当初、勝負に負けたペッパーは「怒り」や「悔しい」というネガティブな感情を抱いていたが、次第に「気持ち良い」や「嬉しい」というポジティブな感情に変化した。

これは、花札で勝負がついた瞬間に周りで見ていた開発者が笑顔になったことから、ペッパーが周りの状況を読み取り、負けたことに対して抱いた感情がポジティブなものに変化したと推測されている。つまり、現実の周辺環境からリアルな感情を学んでいるというのだ。これはペッパーが、周囲の人の反応から新たな感情を学んだということで、いわば「空気を読む」能力まで獲得しているともいえるだろう。

もしもこの調子でペッパーがより多くの感情を読み取って表現できるようになれば、本当に人間のように振る舞う日が来るかもしれない。そうなれば、20世紀の日本で生み出された鉄腕アトムやドラえもんのようなロボットが、現実に登場することになるだろう。(提供:Innovation Hub

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