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FinTech Japan開催、大前氏がフィンテック業界に「小規模な改革から始めよ」と提言

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大前研一氏(写真=FinTech online編集部)

 

日本FinTech協会主催のイベント「FinTech Japan」が12月1、2日、東京・渋谷で行われ、600人以上が来場した。初日は松尾元信金融庁参事官があいさつしたほか、北尾吉孝SBIホールディングス社長、高岡美緒マネックスベンチャーズ取締役らが登壇。大前研一ビジネス・ブレークスルー社長の登壇で幕を開けた2日目には、小早川周司日本銀行参事役や瀧俊雄氏FinTech研究所長らによるパネルディスカッション、北澤 直氏お金のデザイン取締役COOらによるワークショップなどが行われた。

日本はフィンテックハブになれるのか?

大前氏は「日本はフィンテックハブになれるのか」というセッションに登壇、「米国ベイエリアや欧州、香港などがフィンテックハブになっているが、日本はどうか」という質問に対して、「それはあくまで20世紀のモデルに過ぎない」とした上で、「21世紀は何らかの人々、機関、クラスタに限らず、誰もが新しいフィンテックサービスをつくり、運営できる。そこには縦割りや規制はなく、民主的なもので、取引の形もまったく違ったものになる」と指摘。

ただ現状については、「5年から10年は過渡期。さまざまなFTサービスを開発するのにかかるが、その間にたくさんのサービスや技術が出てくるでしょう」と述べた。その上で、フィンテックが現状の“与信”を大きく変えることを指摘した。

たとえばクレジットカードの使用では4%の手数料がとられるが、それは回収できないリスクがあるからで、利用者の与信がしっかりしていれば、手数料はとらなくてもよくなるはずだと述べるなど、人に対する与信が変わることを示唆。ビジネスに関してもfreeeやマネーフォワードなどを例にして、決算資料などのデータベースをもとに融資の判断ができるはずだと強調した。

また「価値があるものは、通貨と置き換えることができる」としてメルカリを例示、不要なものを売ることがメジャーになっていることを挙げ、「使っていないモノ、たんすに入っているものに価値を見出す人もいる。これは誰かが時間・労働を提供することも同じだ」と話した。

さらに「この国において最も大きな資産は生命保険」とも述べ、「死んだらお金がもらえるわけで、多くの日本人が亡くなったときに一番お金を持っている状態になる」とし、これを「奇妙なシステム」と喝破。そのお金や価値を存命中に活用できるようするといったところが「フィンテックがねらっていくところ」と話した。

小規模な改革から始めよ

また「社会が変わるために必要な改革のあり方」について問われた大前氏は、「どんな改革も最初は小規模。小さな村などで豊かな暮らしが実現され、誰もがそれを見たら(その価値が)分かるものを実現することだ」と話した。

その例としてドイツの保険会社アリアンツの取り組みを紹介。「たとえばここの大学の工学部を出た人が50年後にこうなるというデータがあれば、統計的に分かっていれば、大学卒業時点で自宅の資金を出すということができる。こういうところでビッグデータが大きな役割を果たす。こういう事例をまず小さい規模で成功されれば、大きな会社が真似して大きな動きになる」と提案した。

ブロックチェーンについては、「(コスト的に正当化できない)全銀システムを通さないところがいい」と評価。フィンテックの可能性として、「どこかにお金を持っている人がその資金を国境を越え、業界を越え、送金できるようにすること。中央のシステムに依存しない形で自由にすることが新しいFTの視座だ」と指摘した。

「(変革を)政府が受け入れるのか」という疑問については、「20世紀に引きずられている人もいるが、財務省にも何らかの形でやりたいと思っているはず」と期待を表明。エストニアがeガバメントを例に出し、「個人のIDがスマホやSIMに格納され、決済や税支払い、国政選挙にも活用しているよいモデル。日本でも小さな村がエストニア政府がやってることをやってみてはどうか。いきなり国でなくても小さなところがやればいい。小さなセキュアな環境を確保してやること。いまは歩を進めることだ。自動運転車の実験と同じようなことを証拠がためをしていく段階だ」と訴え、「インバウンドの旅行者を受け入れているところがアリペイを受け入れているように、小さな例をつくること」とも付け加えた。

ブロックチェーンに関するパネルも開催

(左2人目から)藤井、ジョセフ、宮口の3氏(写真=FinTech online編集部)
(左2人目から)藤井、ジョセフ、宮口の3氏(写真=FinTech online編集部)

このほか初日最後に行われたブロックチェーンに関するセッションには、藤井達人・三菱UFJフィナンシャル・グループ デジタルイノベーション推進部シニアアナリスト、クラーケンの宮口礼子氏(マネージング・ディレクター・ジャパン)、シドニー証券取引所 市場開発担当のロレッタ・ジョセフ氏が登壇した。

ブロックチェーンに関する取り組みの現状について報告が行われたほか、パブリックとプライベートの2つそれぞれのあり方などについて議論が行われた。藤井氏は同グループが取り組んでいるMUFGコインなどについて紹介した上で、現状では金融機関はプライベートブロックチェーンの活用に積極的だとしたうえで、パブリックなタイプもうまく活用できれば、業界のみならず世界のあらゆる問題を解決できると指摘した。(FinTech online編集部)

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