MUFGコインにみる金融機関の現状と未来 ファイナンス稲門会フィンテックセミナー開催

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(写真=FinTech online編集部)

早稲田大学ファイナンス稲門会主催の「フィンテックセミナー」が6月22日、Quick本社(東京都中央区)で開かれ、現役の金融マンを中心に約100人が出席した。ZUU社長の冨田和成氏が講演を行った。

本当にイノベーションが必要なのは地銀や信用金庫

冨田氏は三菱東京UFJ銀行が2017年秋に発行する予定の独自の仮想通貨「MUFGコイン」について「本格導入されれば個人間のコイン送金などが割安の手数料で可能になり、ユーザーの利便性は上がるだろう」と評価。

会場からもMUFGコインの「意図」についての質問が出され、冨田氏は「よく指摘されているように大型のサーバーを必要としないブロックチェーン技術の採用により、コスト削減を狙ったという点はあるだろう」との見解を述べた。ただ一方で、「同行がそのポートフォリオ戦略において『ビットコインは抑えておくべき分野のひとつと判断した』と考えたほうが無難という考え方もある」と話した。

一般にメガバンクはその動きの遅さから旧態依然などと評されるが、MUFGコインの取り組みと発表については先進的といえそうだ。同行がこのような先進的な取り組みをはじめた理由について冨田氏は2つあると指摘。その一つとして大手金融機関のクライアントの金融リテラシーの高さとサービスの「質」に対する要求の強さを挙げた。

冨田氏は前職の野村證券時代にプライベートバンカーを務めた経験がある。「富裕層は情報のネットワークが広いため感度も高く、さらに利便性(ユーザーエクスペリエンス)に対しても厳しい目を持つ。実際にどれだけの突き上げがあったのかは不明だが、都市圏に強いMUFGがこうした必要性に迫られる立場に身を置いていることは否定できない」と自身の経験を交えて説明した。

もう一つの理由として海外の金融機関や企業との競争を挙げた。フィンテックスタートアップの成熟度という意味で世界をリードしているのは米国くらいで、日本も実は引けをとらないことを指摘。「MUFGは国際業務に強い銀行であるがゆえ、その波を現実の脅威として認識し、グローバルな競争で優位に立つべく他行に先駆けてパドルを漕いだのだろう」と述べた。

そのうえで冨田氏は「本当にフィンテックに本腰を入れるべきは、地方の銀行や信用金庫のような中小企業を相手にした銀行だ」と指摘。その理由として、地方の中小企業経営者が日々、運転資金の調達で頭を悩ませていることを挙げた。「金融の本質はそもそもお金を融通すること。ソーシャルレンディングやクラウドファンディングなど新しい『お金の融通の仕方』が次々と登場しているなかで、リテラシーの高い経営者であれば地方在住であろうとそこに新たな活路を見出すだろうが、本来経営者にとって最も身近な金融のスペシャリストは地銀や信金の営業マンたちである」と解説した。

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